ニュース
4年前のPCは使えば使うほど損
~日本マイクロソフト、中小企業のWindows 10/Office 365移行を支援
2018年10月17日 17:28
日本マイクロソフト株式会社は、2020年にサポート終了を迎える「Windows 7」および「Office 2010」から、最新のクラウド環境への移行に関する記者説明会を開催した。
同会には、日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 Microsoft 365ビジネス本部長の三上智子氏、同社コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏らが登壇。
三上氏は、「Windows 7」および「Windows Server 2008」は2020年1月14日、「Microsoft Office 2010」は2020年10月13日に延長サポート期間が終了し、完全にサポートが終了すると説明。
2018年1月から2020年のサポート終了を期に最新環境への移行を促す取り組みを行なってきたのは、前回のWindows XPサポート終了のさいに、法人から「検証時間が足りない」といった声など「もっと早く告知してほしい」という要望を受けたことによるものであるとした。
国内におけるITの最新化の現状については、大企業では95%がWindows 10移行に向け活動を開始していると紹介。Microsoftのクラウドを利用している企業は92%あるという。
自治体でも、県におけるWindows 7サポート終了時期の認知が97%、市や特別区における同認知が95%であると紹介。
その一方で、中小企業ではWindows 7サポート終了時期の認知は57%、同社製品に限らず、なんらかのグループウェアを活用できている企業はわずか12%しかないことを挙げ、移行以前に、依然として認知自体がまだまだ低い状態であるとした。
また中小企業のクラウド利用について掘り下げてみると、東京とそれ以外の地域では20%以上差があることも紹介。
認知向上の取り組みとして、同社では2018年中に1,000回のイベント/セミナー開催を掲げていたが、9月末時点で705回のイベントを全国各地で開催し順調に進んでいるとアピール。
Windows 7からの移行にさいしては、Windows 10とOffice 365、最新のデバイスへの移行を強く推奨していると述べた。
アジアのなかでも遅れをとっている日本
およそ10年前となるWindows 7の発売当時は、携帯電話は「ガラケー」で、現金決済、音楽をCDで楽しむのが当たり前だったが、現在ではスマートフォンが当たり前になり、常にデータにつながっている時代になり、キャッシュレス化も進み、音楽はストリーミングが当然になったと紹介。
同氏は、この10年でデジタルが生活に溶け込んできたと述べ、今ではデジタル、クラウド、モビリティなしでは生活できない世界が広がっているとした。
そういった状況の中で、同社がアジア14カ国の中小企業に行なった「働く環境」の2020年に向けたデジタル化の準備に関する調査に対して、「社員のデジタルスキルのギャップ解消に経営者がコミットしているか」、「フレキシブルな働き方の支援を行なっているか」、「デジタル化に向け会社が準備できているか」という質問に、アジア全体では30%以上が「はい」と答えたのに対し、日本は8%以下という結果であると紹介。日本の取り組みはアジアに比べてかなり遅れているとした。
そういった中小企業が抱えている課題としては、約74%の企業がが人手不足を感じ、高齢化社会の影響で優秀な人材の確保/維持が困難になっているほか、売上拡大について、「今までどおりのやり方では厳しい」と感じている企業が半数を占めるとした。
セキュリティについても、46%の企業に対して攻撃が行なわれ、16%が攻撃被害を受けているにも関わらず、2%の企業だけがモバイルデバイスの管理を行なっており、リスクの大きさと現状に大きなギャップがあると語った。
Windows 10とOffice 365のメリット
実際に最新のWindows 10とOffice 365を活用するメリットとしては、まずスマートフォンとのシームレスな連携が可能になっていると紹介。
今の世の中で働く上で、PCとスマートフォンでデータを移動させたい状況は多数発生するが、簡単にコピー&ペースト内容の共有や、写真の共有などが可能になっており、デバイスにとらわれず連携できるとした。
30台半ばやこれから労働市場に入ってくる世代は、デジタルネイティブ世代であり、いつでもどこでも色々な作業ができる環境が求められると述べ、前述の機能などによって従業員のモチベーションも高まるとアピールした。
Office 365については、コラボーレーションツールの「Microsoft Teams」を紹介。チャットからファイルの共有、オンライン会議まで1つで可能になるとした。
またAIの機能を統合し、スライドデザインの提案や、数クリックで内容の自動翻訳、画像からExcelデータを取り込むといった機能が利用可能になっていると説明した。
セキュリティ面では、同社の持つ膨大なデータから常に最近の情報に更新されており、Windows 10に標準で搭載されているWindows Defenderは、第三者機関の調査で5カ月連続で100%マルウェアをブロックしており、最長記録を更新していると述べ、追加コスト不要でエンタープライズクラスのセキュリティを利用可能になっているとした。
古いPCはコスト増につながる
次いで登壇した梅田氏は、PCハードウェアの観点における働く環境のモダナイゼーションを紹介。
Microsoftが2,156社を対象に行なった調査によると、購入から3年内のPCは、故障率が徐々に増えているのに対し、4年を迎えると急激に故障率が増加し、3年経過したPCから3.4倍の67%という修理率になっていると説明。
しかし日本では、85%の中小企業が4年以上経過したPCを所有しており、買い替えサイクルも5.4年と、アメリカの4.5年やアジアの5年と比べても、長いサイクルになっているという。
購入から4年以上経過したPCは、故障率だけでなく故障内容も重いものになりがちで、メモリ破損によるアプリケーションのクラッシュや、ストレージパーツの寿命でデータ損失などの内容となり、4年未満のPCと比べて1.5倍の修理/メンテナンスコストを必要とする。
また生産性の面でも、起動時間や動作の遅さによって、年間129時間分の生産的時間の喪失につながり、それらのコスト面を総合すると、4年未満のPCと比べて約35万円の損失と等しいという調査結果を紹介。
製品寿命のギリギリまでPCを使うよりも、結果的に新しいPCに買い換えるほうが安くつくとアピールした。
また、優秀な人材を確保しても、そういった人材は「働く環境」を重視している場合が多いことから、古いPCしか用意しなかったことで、離職リスクを高めてしまうと語った。
同氏は、働き方改革のなかで、PCのようなIT資産だけでなく、ITポリシーの見直しも必要になっていると述べ、中小企業の約半数が社内PCの持ち出しに制限をかけており、約22%の企業しか自由に社外に持ち出せる状況にないと紹介。
多くの企業が制限の理由に挙げるセキュリティ面でも、最新デバイスであればbitlockerのようなストレージ暗号化や、前述のWindows Defenderによる高度な保護などで、紛失やサイバー攻撃による情報漏えいにも対応できるとした。
具体的な最新デバイスとして、同社では、2in1 PCや、筐体厚20mm以下のウルトラスリムノートといった新たなフォームファクタであり、Windows Helloに対応したデバイスを「モダンデバイス」として定義していると紹介。今では国内法人向けPC出荷の25%が、モダンデバイスになっているという。
現状、企業PCでもっともメジャーなのは、15.6型でHDD、DVDドライブ搭載のノートPCとなっており、モダンデバイスはそれと比較すると高価格になるが、買い替えによって起動時間を半分程度まで高速化できるなど、より快適な労働環境を提供でき、社員のモチベーション向上につながると語った。
モダンデバイスの普及加速に向けては、大塚商会やシネックスインフォテック、ソフトバンクC&S、ダイワボウ情報システムと協業。この4社とリセラーネットワーク2万社で、600万台といわれる法人向けPC市場の75%をカバーしているとした。
Office 365のキャンペーンを実施
同社では、「Microsoft 365 Business」の発売1周年を記念し、法人向けに12月21日までの期間限定で、Microsoft 365 BusinessおよびOffice 365 Business Premiumの購入で、Microsoft 365 Businessが1シート1万円、Office 365 Business Premiumで1シート3千円の「キャッシュバックキャンペーン」を行なう。
また新たな取り組みとして、全国10都市をキャラバンする「中小企業お助け隊」を開始。
中小企業お助け隊では、人材不足対策と働き方改革、営業力強化、財務/コンプライアンスそれぞれのプロが全国を周り、中小企業向けセミナーを開催する。
アンバサダーには稲村亜美さんが就任し、大阪/福岡/札幌の3都市のキャラバンにも同行することが発表された。